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怪文書ですのでご注意 - 二次元裏@ふたば(img)
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1 : 2016/10/11 23:06:52 No.384012934

1476194812430.jpg[画像通報]

怪文書ですのでご注意ください
犬の名前はメモ住殿で決めていただきました

2 : 2016/10/11 23:07:18 No.384013067

私は掃除道具を持って、部屋の扉を開く。
この春からは休みになっても使われなくなってしまった部屋。私が守ってあげられなかった妹の部屋。
贖罪だとか、綺麗事でやっている行為ではない。あの子がいつ戻っても良いように綺麗な状態にしておきたい。ただそれだけだ。
春に主を失った部屋は最初こそ実家に顔を出す度に掃除をしても汚れが見つかったものだが、続けている内に汚れる事も減り短時間で終わるようになってしまった。
いつも通りの手順でみほの部屋を掃除していると、メールの着陰音が鳴る。
私はその音を聞き、思わず耳を疑ってしまった、
この音は、みほからの着信だ。
去年まではたくさん鳴った着信音。今年度になってからは一度も鳴らなかった、私とみほが好きな桜をモチーフにした曲。
転校してからは連絡も取り合わず、お互いに変な距離を作ってしまっていたのでとても驚いたし嬉しかった。

私は相手によっておおまかに着信音を変えている。
両親、中学校の知り合い。それに黒森峰の生徒など。それぞれ私なりにテーマを考え、そのグループ毎に曲を充てている。
私はすぐに掃除の手を止め、携帯電話を開く。

3 : 2016/10/11 23:07:33 No.384013133

『大洗の廃校が決まった為、急ではありますが転校書類に記入をして頂きたいので一度そちらに帰省します。日付は…』
業務的なメール内容ではあるが、私に連絡をくれただけで嬉しい。
『わかった。力になれる事があるなら手伝おう』
そう返信をして、携帯電話を閉じる。
よし、ならば部屋の掃除も気合を入れないとな。そう思ったものの、先にお母様に話をしておかなければいけない事に気付く。
そうだ、これはお母様とみほがしっかり話すチャンスかもしれない。
私はそう考え、お母様の部屋へと足を運ぶ。
私室の前で声をかける。
「お母様、お話があります」
「入りなさい」
そう言われたので入室をすると、背筋を伸ばして椅子に腰をかけた母親が私をじっと見てきた。

4 : 2016/10/11 23:07:59 No.384013293

「用件はなんですか、まほ」
「明日、みほがこちらに戻ると連絡がありました」
お母様は意図が汲めないと眉を顰める。
「戻る?理由は?」
「このメールに書いてくれました」
携帯電話を渡すと、その文をじっくりと読む。
「何故この話を、私に直接ではなくまほに?」
「まだお母様に遠慮をしているんだと思います」
「…そうですか」
そう言った瞬間、凛とした母の背中が縮んだ様に見えた。
「みほは私の戦車道を見つけたと言ってくれました。あの子がそのまま通えればいいのですが」
「私が管轄なのは戦車道。学園艦の存続に口出し出来る物ではないわ」
「出すぎた発言をしました。すみません」
「何か出来るなら考えます」
「ありがとうございます。では犬の散歩があるので失礼します」

5 : 2016/10/11 23:08:16 No.384013393

「まほ」
出て行く私をお母様が呼び止める。
「教えてくれてありがとう。あの子はきっと、私には黙ってるでしょうから」
はい、とだけ答えて私は外へと出る。

「フント、散歩だよ」
ドイツ語で「犬」というシンプルすぎる名前を付けられた愛犬に優しく声をかける。
私が声をかけると、犬小屋から飛び出して尻尾を振りながら寄ってくる。
早くリードを付けてもらおうと私の周りをぐるぐると回る。
クンクンとか弱く鳴きながら、すぐに行こうと全身で伝える元気の良さはとても癒やされる。
私はリードを持ち、あちこちの臭いを嗅ぎながら歩くフントの二歩後ろを歩き出す。
日も傾き茜色に染まった畦道を歩きながら、私は昔の事を思い出していた。
家族四人で戦車に乗り、ピクニックをした時の事。黒森峰に進学してからもよろしくね、とみほが笑顔で言ってくれた時のこと。
去年の決勝戦の後、塞ぎこむ様に口数も笑顔も減ってしまったこと。
そして私が散歩中にお母様と話し、一人で転校を決めた時のこと。

6 : 2016/10/11 23:08:40 No.384013513 1

ふと気がつくと、フントが足元でグルグルと回っている。
考え事をしている間にいつの間にか足を止めてしまっていた様だ。
「ごめんね」と撫でてあげてから散歩を再開する。
みほは気付いたら引っ込み思案で言いたい事も遠慮して言えない子になっていただ。
しかし、決勝戦の後に私の戦車道を見つけたと嬉しそうに言ってくれた。
そんなあの子の大切な場所を守る為に、私は何が出来るのだろう。

私は家に帰ると、中断してしまっていたみほの部屋の掃除を再開する。
泊まるか日帰りかは聞いていないが、やはり私室が落ち着くだろう。
私は窓を開け、換気をしながら明日の事に思いを馳せる。
もし望むようなら、お母様に話しあっていただこう。
しかし、そううまくいかない可能性は高い。
もし昔の様に話せるのであればお母様にも連絡を入れるはずなのだから。
去年の出来事はあの子の枷になり続けているのだろう。

7 : 2016/10/11 23:09:06 No.384013632 1

夕食を済ませ、私は私室へと戻る。
携帯電話を見るとみほは昼過ぎに着き、食事は港で済ませてから来ると連絡が入った。
私はその返信を考え、書いては消してを繰り返す。
お母様と話を…いや、駄目だ。明日は泊まっていくのか…これも他人行儀。
指先でこめかみの辺りを掻き、悩んだ末に「わかった」とだけ返信をする。
携帯電話を閉じると、明日の事を考える。
外で待つのも大げさだが、家の中に居てもしお母様におびえて入れなかったら困る。
そうだ、明日は早めに散歩をしよう。
一人で入ってお母様と話してくれたらそれが一番いい。
私からは「もう着いていたのか」と談笑する二人に話すだけでいいのだから。
逆に入れなかった時は、私が手を引いてあげよう。
そういえば小さい頃は元気なあの子に私が引っ張られる事もよくあったな。
そう考えていると私はにやけてしまっている事に気付き顔を引き締める。
昔を思い出し、少しではあるが戻れつつある現状を明るく考えた私は翌日に備えて眠りについた。

8 : 2016/10/11 23:09:24 No.384013701

翌日も晴天となり、私はリードを持って犬小屋へと向かう。
「フント、散歩だよ」
そう告げると日差しを避ける様に犬小屋に入っていたフントが飛び出してくる。
「暑いから今日の散歩は短くするね」
わかったから早く行こう。そう言うかの様に私の回りをグルグルと回って喜びを表現する。

散歩から戻ると、小さな背中が家の前でまごついていた。
私は声をかけようとして、躊躇う。
あの子の横顔が家に対する怯えに満ちていたからだ。
そうか、まだ無理か。
すう、と一つ深く息を吸いゆっくりと吐く。
「みほ」
出来る限り優しく声をかける。
振り向く顔が路地に咲く向日葵の様に明るく輝く。

9 : 2016/10/11 23:09:44 No.384013797

フントを繋ぎ直し、ひとしきり撫でてあげてから玄関に向かう。
みほは私の背中に隠れる様に歩くが、朝から正装で過ごしているお母様は足音で気がつく。
「私の友人です」
安心させる様に伝えると、家からは「そう」とだけ返事が届いた。
みほを部屋に連れていき、書類を持って母の私室へと向かう。
「お母様、はんこをお借り出来ないでしょうか」
「何に使うのか言わないと認めるわけがないでしょう?」
「こちらの書類です」
私は母親の名前を書いた書類を差し出す。
「あの子からは来なかったわね」
「家の前で怯えていましたから」
「そう。ここで押して渡すのでは駄目なの?」
「私もみほの前でいい格好をしたいですから」
「…わかったわ。使い終わったら返してちょうだい」
「ありがとうございます」

10 : 2016/10/11 23:10:00 No.384013863

お母様に感謝をして、わざとらしく足音を消して部屋へと戻る。
書き終えた書類を差し出すと、みほは驚きと喜びで大声を上げてくる。
しーっ、とおどけて見せると昔の様な輝きに満ちた妹の笑顔が広がる。
声は小さくしたまま、私たちは笑い合う。

お茶を飲みながら話をして、思い出した様に私は切り出す。
「みほ、今日は泊まっていくのか?」
「ううん。今は陸だから戻らないと。人手が必要かもしれないし」
「なら港まで乗せて行こう」
「うーん、じゃあ駅までお願いしようかな」
「わかった」
もともと荷物が少ないみほはいつでも出られる様なので、こちらも準備を済ませて出発する。
「あ、そうだ。お姉ちゃん。お土産買ってきてたんだ」
このお土産は家族にだろうか、それとも私にだろうか。
判断に困った私は「ありがとう」とだけ伝える。

11 : 2016/10/11 23:10:20 No.384013943

駅に着き、戦車から降りる。
「そうだ、みほ。今年は年賀状を出してくれるか?」
「うん、お姉ちゃんにも出すね」
「私だけじゃなく、お母様も入れた全員にだ」
「わかった」とは言うもののみほの表情が暗くなる。
「一通に私を含めた連名で構わない。実家に送ってくれるだけでいい」
少し悩む仕草を見せたものの、みほはしっかりと頷いてくれた。

みほを送り届けた後、日も傾き影が長くなる頃に家に戻る。
久しぶりにはしゃいでしまった気がする。
私が帰宅した事と、いつもなら散歩の時間な事もありフントが騒ぎ出す。
気分転換も兼ねて散歩に行こう。
お母様に話すこと、これからの事。
この後に色々と考えなければいけないのだから。
後ろ足で立ち上がり散歩をせがむフントにリードを付けて、涼しくなった畦道へと歩き出した。

12 : 2016/10/11 23:13:47 No.384014964

いつぞや話してた犬のやつか
みほの事が好きなお姉ちゃんいいよね…

13 : 2016/10/11 23:20:24 No.384016772

親子の間で距離ができちゃってるのは寂しいね
難しい問題だ

14 : 2016/10/11 23:25:27 No.384018236

まだ時間は掛かりそうだけど希望は見える

15 : 2016/10/11 23:32:14 No.384020044

ああそりゃ普通に先にメールなりするよなぁ…
ちゃんと全部知ってた上での「そう」ならかなり違う印象になるな

16 : 2016/10/11 23:33:37 No.384020396

>そういえば小さい頃は元気なあの子に私が引っ張られる事もよくあったな。
回想のシーンってお姉ちゃんに引っ張られる今と過去の対比だったのか…全然気づかなかった…

17 : 2016/10/11 23:39:00 No.384021641

みぽりんメールで他人行儀過ぎる…
でも全国大会の後の会話ってあの決勝の直後だけっぽいしやっぱまだ距離あるのかな

18 : 2016/10/11 23:42:49 No.384022536

文面だと親しい人でも事務的な形になるタイプかもしれない

19 : 2016/10/11 23:48:05 No.384023778

みぽりんもお姉ちゃんもメール下手そうだよね

20 : 2016/10/11 23:53:08 No.384024890 1

>なっていただ。
プラウダじゃねえか!

21 : 2016/10/11 23:54:44 No.384025192

>プラウダじゃねえか!
何度も推敲したはずなのにね…ありがとう

元スレッド:http://img.2chan.net/b/res/384012934.htm


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